施工事例

GR86:RIPスタッフによるサーキットチャレンジ

RIPの整備スタッフの高橋が購入したトヨタ GR86 Cup Car Basicが納車されました。


このGR86 Cup Car Basicは、トヨタ・ガズーレーシングGR86/BRZカップへの参戦を想定し、6点式ロールケージやエンジンオイルクーラーが標準装着され、逆に快適装備などは簡略化された仕様となっています。
ということで、整備スタッフの高橋がこのGR86でサーキットをスポーツ走行し、車のカスタムやドライビングがレベルアップする様子を不定期ではありますが、お伝えできればと思います。
(現段階でレースに出場することは想定していません。)


ここで、高橋の簡単な紹介を。
高橋(整備スタッフ) メカニック歴 14年目
鈴鹿サーキット走行回数 約20回 
自己ベスト2分40秒(RX-8) 
目標は、GR86で2分40秒を切ること


高橋が、過去に乗っていたRX-8での鈴鹿サーキットのベストラップは2分40秒。
RX-8を上回るスペックのマシンを手に入れ、次なる目標は40秒を切ってのベストラップ更新です。
競技用ベース車両はあくまでも競技車両を製作する土台です。
純正パーツのままで即レース可能という訳ではありません。
シート、サスペンション、ブレーキ、タイヤ&ホイール等は、参加する競技のルールやドライバーの好みに合わせてふさわしいスペックのモノに交換しなくてはなりません。
サーキット走行するにあたっても、最低限のライトチューンは必要という事で、いろいろとパーツを交換していきます。
これからサーキット走行にチャレンジしてみたい、という方は参考にしてみて下さい。


まずは、足回りから着手していきます。
ショックアブソーバーとスプリングは、TRDサスペンションセット(GR86 Cup Car Basic:ZN8用)へ。
前モデル(ZN6用)にくらべて、よりサーキット走行に主眼を置いたハイレートなセットアップが施され、レースユースなど、高速域での操縦安定性が高められているようです。


ブレーキパッドは、エンドレスのGR2。
86/BRZレース用に開発されたコントロール性重視のパッドです。
踏力に応じリニアに効く特性により、コンマ数秒を争う86/BRZレースにおいて多数のレーサーに選ばれています。


ブレーキラインもエンドレスのステンメッシュホース(スイベル・スチールタイプ)。
ブレーキオイルが高温になってもホースが膨張しないので、ペダルフィーリングを一定に保ことができます。


タイヤ&ホイールは、86/BRZ・クラブマンシリーズの指定タイヤであるダンロップ ディレッツァ ZIII 215/45R17に
エンケイ レーシングレボリューション NT03RR For GR86 / BRZ Cupの組み合わせ。
GR86 / BRZ Cup専用ホイールとして発売されたモデルです。
以上、全てカップレースのレギュレーションに準じたパーツを選択しました。


昼休みなどの空き時間にどんどん交換していきます。


足回りの主なパーツをサーキット対応のパーツに交換し、鈴鹿サーキットを走行する準備はできました。


車高が下がり、タイヤとホイールが変更され、サーキットにふさわしいルックスになりました。
そして、一般公道での慣らし運転も終わり、いよいよ鈴鹿サーキットでのシェイクダウンです。
今回のスポーツ走行は、お客様とご一緒させていただいたので、メカニックとしてまずはお客様のタイヤのエア圧やオイルなど点検した後、バタバタとヘルメットをかぶり、シートベルトを締めてコースイン。


いよいよ走行開始。
鈴鹿サーキットを走行するのは、約半年振り。
久しぶりの緊張感と、GR86で初めて走る高揚感で、かなりドキドキしていたようです。
しかし、街乗り状態のままで走り始めてしまった彼を悲劇が襲うことに…。


サーキット走行が約半年ぶりという事もあり、まずは初めての車と久しぶりのサーキットに慣れることに専念します。


セッション後半は土肥の124スパイダーの後ろについてブレーキポイントや走行ラインの確認しつつ、感覚を取り戻すように走ります。


30分の走行時間を走り切り、ピットに戻ってきました。
車から降りると、様子がおかしいです! 足元が若干ふらついています!
理由を聞くと、いわゆる“乗り物酔い”との事でした。


サーキット走行では普段はかからないような横Gや急加速、急減速が多くあり、慣れていないドライバーは自分の運転にも関わらず車酔いするという事があります。
高橋は少し酔いやすい体質ということもあり、走行前に酔い止めの薬を服用していましたが、この時は本人のテンションが高かったからか、効果がいまひとつだったようです。

そして、車酔いを助長した最大の理由は、先日交換したダンパーの減衰力の調整を忘れ、街乗りモードの一番ソフトにしたまま、走行していたことにありました…。


休憩時間中も気分が悪くフラフラ…。一緒に走行していたお客様達からめちゃくちゃイジられました!笑
普段は乗り心地を重視した方が良いので、サーキット行くまでは減衰力を弱めにしておいて、スポーツ走行を行う時に減衰力を上げるといった調整を行うつもりでした。 ところが、減衰調整を忘れて走った結果、車のロールが酷く、物凄く酔ってしまったようで、ラップタイムどころではありませんでした…。


しかし、せっかく走りに来たのに、このままでは帰れません!
車酔いの状態は少し残っていましたが、2本目も走行します。
今度は、減衰力をしっかり強めに調整して臨みました。


体のウォームアップも済み、GR86に向き合う余裕が出てきた2本目は、以前乗っていたRX-8と比較しながら色々試行錯誤を繰り返していたようです。 
高橋曰く、同じFRでも馬力もギアも全然違うので、まだ乗り方が全然分からないとの事です。
この日のベストラップは2分53秒と、目標タイムからは約13秒の差があります。
今回はクルマのシェイクダウンとドライバーのリハビリが目的だったので、ハプニングもありましたが、無事に走れたことはなによりでした。
GR86での初サーキット走行は、こうして終えました。


鈴鹿サーキットを走行したことで、GR86のセッティング、走らせ方などたくさんの課題が見えてきました。
徐々にレベルアップして、最終的に自己のベストラップ更新ができるように頑張ってもらいたいです。
不定期ですが、今後も高橋と86の様子を皆さんにお伝えをしていきます。 
これからサーキットを走ってみたいな、という方への参考になれば嬉しいです。
「RIPスタッフによるサーキットチャレンジ」のこれからをお楽しみに!